AGEsはペリサイトが産生するTGF-βと内皮細胞が放出するVEGFとMMP-2を介して血液脳関門を破綻させる(神経内科学分野)

Advanced glycation end-products disrupt the blood brain barrier by stimulating the release of transforming growth factor-β by pericytes and vascular endothelial
growth factor and matrix metalloproteinase-2 by endothelial cells in vitro.

Fumitaka Shimizu, Yasuteru Sano, Osamu Tominaga, Toshihiko Maeda, Masa-aki Abe, Takashi Kanda
Neurobiol Aging 34, 1902-1912, 2013.

【背景】近年,2型糖尿病の主要な中枢神経合併症としての認知症(糖尿病性脳症)が注目されている.血液脳関門(BBB)の破綻は糖尿病性脳症の発症・進展に重要な役割を果たす.本研究では後期糖化反応生成物 (AGEs)がBBBを破綻させる分子メカニズムを解明することを目的とした.
【方法】我々が樹立したヒトBBB由来血管内皮細胞(BMECs),ペリサイト,アストロサイトの不死化細胞株を用いた.これらの細胞にAGEsを作用させtight junction関連分子(claudin-5),基底膜関連分子(fibronectin)の発現の変化をWestern blot法で解析した.
【結果】AGEを作用させるとBMECsのclaudin-5蛋白量が低下したが,抗VEGF中和抗体/MMP-2阻害剤を併せて作用させるとclaudin-5蛋白量が増加した.AGEを作用させるとペリサイトのfibronectin蛋白量が増加したが,抗TGF-β中和抗体を併せて作用させるとfibronectin蛋白量が低下した.
【考察】糖尿病性脳症においてAGEsはBMECsに作用しautocrineに放出されるVEGFとMMP-2を増加させることでBBBのバリアー機能を破綻させ,ペリサイトに作用しautocrneに分泌されるTGF-βを増加させ基底膜の肥厚を生じていると考えられた.