第3回生体恒常性とストレスセミナーを開催しました

第3回生体恒常性とストレス応答セミナーは、2010年3月11日(木)に総合研究棟8回セミナー室で行われました。今回は、西田輝夫副学長(眼科学分野)をお招きして、「ストレスに対する上皮の応答と恒常性維持への役割」というテーマでご講演いただきました。先生は、これまでの基礎ならびに臨床の豊富なご経験を基盤として、恒常性維持機構が環境の中に生きている我々に必要なものであることを述べられ、ご専門の角膜上皮細胞の恒常性維持機構についてお話しされました。まず、上皮細胞の維持にとって、その下層にある線維芽細胞とのepithelial - mesenchymal interactionの重要性をお示ししました。次に、知覚神経(三叉神経)が上皮下層の密に分布し、そこから分泌されるsubstance Pが重要であることを見いだし、そこから創傷治癒促進に効果のあるオリゴペプチドを発見した経緯をお話しされました。さらに、上皮と酸素との関連について、生物の進化過程を交えた考察をされました。

ご講演の後の討論では、オリゴペプチドによる創傷治癒の分子機構、上皮細胞と酸素との関連など、分野を超えた共通の課題であり、活発な討論がなされました。