山口大学研究推進体「ストレス」成果報告シンポジウム2013後記

 山口大学研究推進体「ストレス応答と関連した難治性疾患の克服のための戦略」成果報告シンポジウム「生体恒常性の仕組みの解明と応用 -次世代を担う若手研究者からの提案-」が、2013年2月8日(金)に山口大学医学部霜仁会館にて、学内外より約100名の参加者のもとで開催されました。まず、三池秀敏学術担当副学長、および坂井田功医学系研究科長のご挨拶で開会しました。続いて、三池副学長にから「山口大学の学術研究戦略について」のお話があった後、研究推進体代表の中井彰教授から「研究プロジェクトの概要と総括」についての説明がありました。
 セッションⅠ「新規分子から病態解明へ」では、8名の先生方に発表して頂きました。藤本先生は「熱ショック応答を担う新たな分子機構の解明」、本田先生は「ユビキチンリガーゼPDZRN3の細胞分化における役割」、山本先生は「脂肪酸結合タンパク質FABPの精神疾患への関与」、崔先生は「血管バリアー機構破綻の新たな分子機構」、岸先生は「細胞におけるストレスファイバー形成の新たな分子機構」、藤永先生は「神経変性疾患におけるハンチンチン関連タンパク質HAP1の機能」、田部先生は「膵b細胞における細胞死の新たな分子機構」、木村先生は「角膜潰瘍の治療法開発において新たなターゲットとなる分子機構」、のテーマについて主に基礎的な研究を基盤とした研究の展開を紹介されました。
 休憩をはさんだ後のセッションⅡ「分子から疾患治療へ」でも8名の先生方に発表して頂きました。広瀬先生は「熱ショック応答のメカニズムに基づく老人性難聴の新たな治療法の開発」、中村先生は「メラノーマにおける熱ショック因子の重要性」、芳原先生は「抗うつ効果における神経可塑性変化の機構」、清水先生は「末梢神経障害における血液神経関門破綻の新たな分子機構」、井上先生は「てんかんの新たな治療法開発における局所脳冷却法の樹立」、前田先生は「熱ショックタンパク質HSP70を発現させた樹状細胞の移入による、肝細胞癌への新たな癌免疫療法の開発とその臨床試験の結果」、細山先生は「再生医療を目指したiPS細胞から骨格筋幹細胞への効率的な分化誘導法の確立」、池田先生からは「心不全治療のための新たな遺伝子治療法の開発」、のテーマについて主に医学への応用研究を中心とした展開を紹介して頂きました。
 いずれの発表も、本研究推進体の支援に基づいて得られた最新の研究成果であり、学内はもとより学外から会場に来られた方々も多かったことから、フロアは満席で立ち見の方もおられるほどでした。各発表の質疑応答についての質問も多数に上り、時間内に終了するのが惜しまれる発表も多くありました。
 最後に中井教授から、「これからも山口大学から世界に向けて一流の成果を発信し続けるだけなく、広く社会に貢献するために研究を進めていきましょう」との結びの言葉と、本日参加して下さった方々へのお礼が述べられました。今回のシンポジウムは、基礎系から臨床系に渡る合計16名もの先生方に発表頂けたことで、本研究推進体によって初めて可能になった基礎系と臨床系の共同研究などの重要性も改めて感じられ、これまで以上に有意義なものになりました。

(医化学分野 林田直樹)

シンポジウムの様子