第11回生体恒常性とストレスセミナーを開催しました

第11回生体恒常性とストレス応答セミナーが、2012年2月3日(金)に山口大学医学部総合研究棟8階セミナー室において開催されました。今回は、五十嵐和彦先生(東北大学大学院医学系研究科・生物化学分野・教授)をお招きし、「酸化ストレス応答を支える核内タンパク質ネットワーク」というテーマでご講演いただきました。講演では、まず、酸化ストレスへの適応機構、およびヘムタンパク質の代謝産物の重要性を述べ、その代謝を触媒するヘムオキシゲナーゼの転写制御を独自に解明したBach- MafあるいはNrf2-Maf転写因子が負あるいは正に制御することを解説されました。最近、Bach転写因子のタンパク質ネットワーク解析により、S-adenosylmethionine (SAM)合成酵素を同定し、クロマチン近傍でこの酵素がメチル基を供給し、ヒストンメチル化を介して転写調節に寄与するという仮説を検証しておられます。新しい分野を開拓しているお話でしたが、分りやすい説明のために聴衆から多くの質問があり、活発な議論が展開されました。細胞の恒常性維持に転写因子を中心とするタンパク質ネットワークが様々な形で寄与することを認識する良い機会となりました。

(主催者)