第15回生体恒常性とストレスセミナーを開催しました
第15回生体恒常性とストレス応答セミナーが、2013年6月17日(月)に医学部総合研究棟8 階セミナー室において開催されました。今回は、白髭克彦先生(東京大学分子細胞生物学研究所)をお招きし、「コヒーシンによる転写制御とその破綻の分子病態」というタイトルでご講演いただきました。コヒーシンはSmc3とSmc1から構成されるリング状の複合体で、このリングの内側にゲノムを抱え込むことでゲノムの分配及び遺伝子発現制御に機能を持ち、その機能不全はコルネリアデランゲ症候群をひき起すことを説明されました。白髭先生らは、コヒーシンがアセチル化によって安定化され、必要なくなるとHdac8により脱アセチル化されて、処理されることを発見しました。コルネリアデランゲ症候群の患者さんで、Hdac8に変異があることも見いだしました。コヒーシンがリング状の複合体を形成することが遺伝子発現と関連しており、複合体形成の異常が遺伝子発現の異常につながることを示しました。ゲノムの3次元構造というエピゲノム情報の中でも解析が難しい情報の調節が、転写制御に密接に関与していることを明確にすると同時に、その仕組みについての解明が期待されます。
(主催者)