細胞工学2014年7月号「ストレス応答性転写因子」に総説を発表しました(医化学分野)

 熱ショック因子によるプロテオスタシス制御と疾患

瀧井良祐、中井 彰

 <要旨>すべての生物は、熱ストレス刺激に対して熱ショック因子(HSF)を介する遺伝子発現調節により適応する仕組みを持つ。これは熱ショック応答と呼ばれ、細胞内に生じたミスフォールディングタンパク質に対処できる容量の主要な調節機構の一つである。最近、生理的条件下で、HSFが熱ショックタンパク質(HSP)やHSP以外のタンパク質の発現調節を介して老化や神経変性疾患などの進行を抑制し、一方でがんの発生や進展を促進することがわかった。その際に、HSFが構成的にヌクレオソーム構造をとるDNAへ安定に結合して遺伝子発現を調節する分子機構も明らかとなってきた。

http://gakken-mesh.jp/journal/detail/9784780901566.html