第3回 研究推進体「ストレス」フォーラムを開催しました

  第3回 研究推進体「ストレス」フォーラムが、2011年4月19日(火)に医学部総合研究当会セミナー室にて開催されました。今回は、「ストレス応答による組織ホメオスタシス」というテーマで4名の先生方に、神経、骨、角膜の組織に焦点を当て、外的あるいは生理学的環境変化に対するホメオスタシスを保つ分子機構について紹介して頂きました。

最初の2題は、神経疾患に対する研究について発表でした。林田直樹先生(医化学)は、熱ショック因子HSF2がCRYABの発現を誘導し、神経変性疾患の原因タンパク質の1つである異常ポリグルタミン蛋白質の分解を促進することでタンパク質ホメオスタシスを保つことを報告しました。佐野泰照先生(神経内科学)は、in vitro血液脳関門システムをヒト細胞で構築し、トランスポーター遺伝子のABCG2がアルツハイマー病の原因とされるβアミロイドタンパク質の輸送に関与することを紹介しました。後半の2題は、骨・角膜の組織についての発表でした。本田健先生(分子薬理学)は、E3ユビキチンリガーゼであるPDZRN3がWntシグナルを抑制することで、BMPにより誘導される間葉系幹細胞から骨芽細胞への分化に関与することを報告しました。木村和博先生(眼科学)は、細胞外マトリックスのフィブロネクチンが角膜上皮細胞の接着と運動に関与し、フィブロネクチンの特定のアミノ酸配列が角膜創傷治癒に有効であることを紹介しました

 フォーラムは、基盤系・臨床系からの研究者が多数集まり、分子基盤から臨床応用まで様々な観点からの質疑と活発な討論がなされました。

 (医化学 藤本充章)