第5回生体恒常性とストレスセミナーを開催しました

  第5回生体恒常性とストレス応答セミナーが、2010年11月24日(水)に霜仁会館3階において開催されました。今回は、田久保圭誉先生(慶應義塾大学医学部発生・分化生物学教室助教 (須田年生教授研究))をお招きし、「低酸素応答システムによる幹細胞性と代謝恒常性の維持」というテーマでご講演いただきました。講演では、造血幹細胞を維持する微小環境についての概略を説明し、低酸素環境下において幹細胞の特性 (自己複製能、多分化能、細胞周期の静止期) が維持されるメカニズムについてご自身の研究データを示されました。幹細胞は酸素濃度が低く維持されていること、それによって低酸素応答因子HIF1が適度に作動することが幹細胞の維持に重要であることを遺伝子改変マウス等により見事にお示しされました。さらに、HIF1による解糖系酵素群の制御が関与していることも示唆されました。講演にはおよそ60名の聴衆が参加し、低酸素状態の維持機構、HIF1の作用機序、糖代謝の制御機構など基礎的な観点、さらには幹細胞を維持する方法やがん幹細胞との相違などの臨床的観点からの活発な議論がなされました。

(主催者)