第6回 研究推進体「ストレス」フォーラムを開催しまいた

  第6回研究推進体「ストレス」フォーラムが、2012年9月3日に山口大学医学部総合研究棟8階多目的室にて開催されました。今回は、エピゲノム調節によるストレス適応というテーマで5名の先生方に、エピゲノム調節に焦点に絞って、その調節による細胞の恒常性維持機構の仕組み、及び調節異常によって引き起こされる疾患に関する最新の知見について紹介していただきました。

最初の2題は、ストレスに対する遺伝子発現を介する調節の仕組みについての発表でした。瀧井良祐先生(医化学)は、熱ショック因子HSF1がATF1と結合することで、クロマチンリモデリング因子BRG1とアセチル化酵素CBP/P300をリクルートして、協調的にHSP70を誘導することを報告しました。佐古田幸美先生(細胞シグナル解析学)は、細胞受容体HVEMを介するシグナルが腎臓のマクロファージ細胞のNOの生産を増加させることによって、転写因子HIF1を活性化してエリスロポイエチンを誘導し、赤血球産生を高めることを紹介しました。次に、高木栄一先生(医化学)が、研究推進体のマイクロアレイ解析の支援状況の説明を行いました。後半の2題は、ゼブラフィッシュやラットを用いたin vivoの研究の発表でした。廣瀬敬信先生(耳鼻科科学)は、ゼブラフィッシュを用いて、既知の内耳障害を引き起こす抗がん剤の毒性をアッセイする実験系を示し、それを用いて内耳保護薬の候補をスクリーニングできることを示しました。李理華先生(産婦人科学)は、ラット顆粒細胞膜細胞が黄体化に伴い、増加するStARと低下するCyp19a1の発現制御には、ヒストン修飾によるクロマチン構造を介したエピジェネティクスの変化が関与していることを紹介されました。

本フォーラムでは、50名程度の基盤系、臨床系の研究者や学生が参加し、各講演後には極めて活発な議論がなされました。様々な視点から研究成果を見直す良い機会になったと思います。

 (医化学分野 譚克)