転移について
患者が治療者に向ける感情は本来過去の重要な人物に向けるべきものを転移している場合が多い。このような患者の治療者に対する言動を転移という。相手を治療者に替えて過去を再体験する愛情関係が陽性転移である。
冬のソナタの場合、ミニョンさんは、治療者ではないが、ユジンがチュンサンの幻影をミニョンさんに求めており、途中で治療者のごとくの振る舞いをするのを見ると、これも一種の転移と考えたい。
転移は治療場面では、あくまで治療に対する抵抗であるが、このような陽性転移を建設的に使用する場合がある。つまり愛情関係をもとに、暗示、説得、元気づけ、支持、保証などを与えることで、ミニョンさんの場合、まさにこのケースに該当する。(培風館の心理臨床大辞典と創元社の精神医学ハンドブックを参考にした。)